2010年06月18日

コンピュータサイエンスしかわかりませんが・・・

はじめまして、研究員の山際です。自己紹介ということで投稿したものの何を書こうか1行目で破綻してます:-(。

高知工科大の情報学群に所属しています。職位は准教授です。居住区はやや異なりますが、宮崎先生が同期です。

僕は筑波大学第三学群情報学類を卒業後、同校大学院工学研究科を修了し、博士(工学)であります。生粋のコンピュータサイエンティストなのです。主たる研究分野は、「並列分散処理、クラスタコンピューティング、ストリームコンピューティング」といったとろころで、皆さんには意味不明な分野でしょうれども、わかりやすくいえば、スーパーコンピュータの心臓部を研究している、というのが取っつきやすいでしょうか。こいつのこと、もうちょっと調べてやろう、と思った方、↓のHPをご覧ください。
http://www.info.kochi-tech.ac.jp/yama/
または・・・某ベストセラー書籍のせいで、Googleで「やまぎわし」まで入れると、僕の名前が表示されるので、見てみてください。

でも、しかし、おいおい、パソコンオタクがなぜスポーツなのか?という疑問がわくと思います。記憶をたどれば、最初のきっかけは、大学院時代に僕の研究室が人数があふれて近くの研究室を間借りしていたときのことでした。体育専門学群から工学研究科に鞍替えしてきた先輩がいて、その際にプログラムの仕方とか、コンピュータサイエンスの基礎を教えた機会がありました。その先輩が博士号取得後、国立スポーツ科学センター(JISS)に行きました。僕も博士号を取得後、海外にいってしまったにもかかわらず、その先輩から白羽の矢が立ち、それ以来、JISSとは8年来のつきあいです。とにかく、もの作りをしてください、という依頼が殺到しました。

たとえば、一部のトップアスリートのトレーニングに関わっている人は見たことあると思いますが、yamalyzerという映像撮影・解析ソフトをJISSから競技団体に提供しています。トリノでスピードスケート500mの最終コーナーの解析に、水泳で平泳ぎの腰位置の移動解析に(これはチーム北島関係者とお話ししたこともあり)、モーグル日本代表のウォータージャンプの解析に、と様々なシーンで使われています。

最近はモーグル日本代表との仕事ばかりです。ウォータージャンプのサポートもそうではありますが、これと同時に、センサーでモーグル選手のパフォーマンスを記録しちゃおう!というのを去年やり、オリンピック代表とジュニアはなにがどう違うのか、うまい選手はどんなデータに差がどうでるのか、というところを見つけるプロジェクトに参画してました。僕はセンサーハード担当で、超小型モーションロガー(加速度、地磁気、ジャイロの固まりのような超小型機材)を作って、雪山で動作させるという過酷な難題を突きつけられながら、もの作りをしてました。その甲斐あって、どのデータを見れば、ターンのスピード、得点に結びつくのかまで解明できています。

そんなこんなで、巻き込まれてしまったわけですが、ドキドキして、やったー、という興奮を与えてくれる分野がスポーツの分野です。いろんな人脈があるかもしれませんが、運命がこの分野に結びつけてくれたことを感謝しないといけないですね。テレビ、新聞で見ていることが、目の前で行われていて、さらに自分が巻き込まれている不思議をまだ、自問自答している感じがします。とにかく、この分野に出会えてとってもラッキーです。

とか格好の良いこといってますが、一番大興奮したのは卓球の愛ちゃんに会えたことですけどね。

剣道初段を持っている程度で、人体だとか、バイオメカニクスとか、脳波だとか、さっぱりわかりません。でも、こんな機材作れない?という要望がありましたら、ポッと出してこれます。007のQみたいな感じですかね。他の工学オンリーの人たちに比べれば、まだ、トレーニング現場がわかっているので、理解しやすいと思いますが、体育関連の勉強会とかがあっても、石像のように固まっていると思います。

そんな僕ですが、よろしくお願いします。
(1行で破綻した割にはずいぶん書いたな、と突っ込みが聞こえそうですw)

posted by fifss at 10:04| Comment(0) | 自己紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

夢が夢


2周目の夢の話です。今回は、「なぜ私たちは夢を見るんだろう」という疑問に関する先行研究を紹介したいと思います。これまで多くの研究者が夢の役割に関する仮説を提唱してきました。でも未だ夢の役割は分かっていません。いろんな夢仮説があって、読んでみると結構面白いです。


@精神力動仮説(Fisher仮説,1966年)
 「夢は本能的衝動を発散させるために生起する」
夢の中で現在持っている問題や葛藤が発散的に処理される。そのため、ありありとした夢を見る時期のレム睡眠を選択的に遮断すると、感情のコントロールが悪くなったり、食欲・性欲が亢進する。

Aシュミレーション仮説(Jouvet仮説,1978年)
 「夢は行動プログラムの作成とシュミレーションの内容を反映している」
生きていく上で必要な行動プログラム(ネコなどは、捕食攻撃行動、威嚇といった防御的攻撃行動)が実行可能なものであるか夢の中でシュミレーションして確認する。

B夢−忘却説(Crick-Mitchison仮説,1983年)
 「忘れるために夢をみる」
日中蓄えた膨大な情報のうち、不要な情報を消去して情報の整理整頓を行う。

C夢−記憶固定説(Winson仮説,1985年)
 「夢は記憶の再生と再処理過程で生起する」
日中脳が処理した情報のうち重要なものがレム睡眠中に再生され、改めて編集処理されたものが記憶として固定される。

D夢の活性化−合成仮説(Hobson-McCarley仮説,1977年)
 夢は覚えるためでも忘れるためでもなく、レム睡眠の責任脳部位からのランダムに発信される神経信号により大脳皮質が活性化され、これによって発生した様々な感覚心像を合成したものが夢となる。

E夢の感覚映像−自由連想仮説(Okuma仮説,1992年)
 この仮説では、夢の活性化−合成仮説を基に、夢のストーリー性に着目している。レム睡眠中には脳内の神経信号により大脳皮質が活性化され感覚心像がポンポンと出現する。しかしポンポンと情報が出現しただけでは夢にストーリー性は生まれない。レム睡眠中には、ある情報がポンと生まれると次に情報が生まれる際には、日中の経験を基に最初の情報と連想関係にある情報がポンと出てくる。このように連想に連想が繋げられてストーリー性が形成される。日中の経験にはその人が日ごろ考えがちな思考経路が使われることもあるので、非常に現実的な夢を見たりする。


@〜Cは夢の役割に関する仮説ですが、DとEは役割というよりも夢の発生メカニズムに関する仮説になります。
夢の役割の直接検証は方法論的にも難しいです。なのでまずは、どうやって夢が成立するのか、夢が発生する仕組みをレム睡眠中の脳機能から検討することで、なぜ夢を見る必要があるのか、夢の意義や役割の解明にアプローチしたいと思っています。
レム睡眠中の生理現象や、日中の記憶体験が夢にも出てくるなど、日中と夢の繋がりをヒントに、実験計画ベースに持ち上げるイメージです。

目標到達まではまだまだ遠いですが、いつか第7のOgawa仮説を提唱することが私の夢です。日ごろのちょっとした疑問を研究へ繋げる。そんな気持ちを忘れずにいたいものだなと思います。(keicom, 小川)


posted by fifss at 08:12| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月07日

「皺と紫外線と私」

タイトルがパクリだとすぐに分かった方は皺が気になる年代の方でしょうか。
はい、平松愛理さんの、「部屋とYシャツと私」をパクらせていただきました。
日々、太陽の照りつけが厳しくなる季節でもありますので、今日は「皺と紫外線」について書いてみたいと思います。

皮膚の皺形成は、外見上分かりやすい老化現象の1つです。老化に関する研究では、筋骨格系、呼吸・循環器系の研究が盛んに行われていますが、皺の研究はそれらに比べ盛んとは言えません。
その理由に、「皮膚の皺は病気ではない」、「生死に関わらない」というのが挙げられます。確かに、顔に皺が出来ても健康にはほとんど影響しません。それに、私は男ですが、目尻に皺が出来たとしてもほとんど気にしません。しかし、女性にとっては生死に関わらなくても、「死活問題」と考える方もいるとかいないとか・・・


皮膚の老化は、「生理学的老化」と「光老化」に分けて考えることができます。生理学的老化というのは、細胞自体の老化を原因とします。皮膚を構成するタンパク質を合成・分泌する細胞自体が老化することにより、タンパク合成がタンパク分解を下回り皮膚組織が老化することです。光老化というのは、紫外線のエネルギーによって皮膚組織内で様々な反応が起き、その結果起こる皮膚の老化です。これら2つのうち、光老化のほうが皮膚老化に大きく影響していると考えられています。
例えば、普段太陽光が当たらないお腹の皮膚と太陽光に晒されている顔や手の皮膚の皺形成具合を比較すれば、そのことが直感的に理解できるのではないでしょうか。
皺が出来るのが嫌な人は紫外線に当たらないようにするという考えは正解と言えます。

では、何故、紫外線に当たると皺が出来るのでしょうか?いろいろ複雑な理由はあるのですが、一番特徴的な現象としては、皮膚に紫外線が当たると皮膚直下の血管増殖が見られます。

皮膚は大きく分けて3層構造からなり、外側から表皮、真皮、皮下組織と呼ばれています。紫外線照射により真皮で血管増殖が起こるわけです。その血管を通り真皮に好中球が侵潤してきます。好中球は皮膚の構成成分であるエラスチンやコラーゲンを分解するエラスターゼやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)と呼ばれるタンパクを分泌します。そのため、真皮や、表皮と真皮の間にある基底膜等が分解され、皺が出来る原因の1つになると考えられています。
ということは、紫外線が当たっても皮膚の血管増殖が起こらなければ皺が出来ないとも考えられます。血管増殖を負に制御する因子としてTSP-1というタンパクが知られていますが、実際にこれを皮膚で過剰発現させたマウスでは紫外線を照射しても皺がほとんど形成されないことがYanoらによって報告されています。

我々は、この紫外線による血管増殖を防ぐ方法が他にないか検討しています。そこで目をつけたのが、HIF-1αというタンパクです。
簡単に言うと、これは血管増殖を促す因子で、紫外線照射によって皮膚組織内で増加することが分かっています。また、低酸素環境で安定、通常酸素環境で不安定(分解されやすい)という性質があります。
そこで、紫外線照射の後に生体を高酸素環境に暴露すれば、HIF-1αが不安定になり血管増殖が抑制され、皺形成も抑制されるのではないかと考えました。この仮説をマウスを用いて試したところ、皺形成を完全に抑制することは出来ませんでしたが、紫外線照射のみで何のケアもしなかったマウスと比べ、有意に皺形成の程度を抑えることが出来ました。

このことから、紫外線によるHIF-1α発現の増強効果を、高酸素による抑制効果が上回る条件であれば、皺形成を非侵襲的に抑制できる可能性があります。


とはいえ、日中は部屋に引きこもる、外出するのは夜中だけという生活が可能な方は、そちらの方が断然皺形成抑制効果が大きいのは間違いありません。

参考文献
Yano K et al. J Invest Dermatol 118: 800-805, 2002.
Kawada S et al. Am J Physiol-Regul Integr Comp Physiol (in press).


ラベル:Kawada
posted by fifss at 12:43| Comment(0) | 可塑性 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月01日

運動と食欲

ブログ担当2周目になりました。

私、この4月から関西にある私立大学で勤務をしています。新設されたスポーツ健康科学部において、健康の維持増進やスポーツ競技力向上のための運動・トレーニングの効果を、スポーツ科学の視点から研究していきたいと思います。

私の研究領域はトレーニング科学や運動生理学です。特に、運動中や運動前後での血液中のホルモン濃度や糖、脂質濃度の変化を手がかりに、効果的な運動の実施方法を検討しようとしています。

一方、運動ではなく、食事によるホルモン量の変化にも興味があります。運動時と同様に、食事の前後でもたくさんのホルモンの分泌動態が変化します。たとえば、胃から分泌されるグレリンというホルモンは食欲を刺激し、脂肪組織によって作り出されるレプチンというホルモンは食欲を抑制します。食後に連続的に採血しこれらの血中濃度を測定すると、食後はグレリン濃度が低下をし、レプチン濃度が上昇する変化がみられます。

さて、これらの食欲調節ホルモンですが、運動との関係がとても注目されています。最近発表された論文では、運動により体重が減少した場合には、食後のグレリン濃度の低下がより迅速に生じることも報告されています。運動とメタボリックシンドロームに関連した研究では、運動の効果を体脂肪量や内臓脂肪面積、血糖値、コレステロール値、血圧などの項目から検討します。これらに加えて、同一内容の食事の前後での食欲調節ホルモンの変化を調べるというのもおもしろいトピックになりそうです。また、私が昨年行った研究では、高強度のトレーニングを合宿形式のような形で2日間連続で行い疲労を蓄積させた結果、食欲を抑制するレプチンというホルモン濃度は徐々に低下していくことがわかりました。運動と食欲調節ホルモンや食欲との関係は現在とても注目されているトピックですので、これから数年間のうちにたくさんの研究成果が世の中に出て来ることが予想されます。諸外国の研究チームに負けないように、私もFifssメンバーの一員として精力的に研究を推進していきます。

Kazu
posted by fifss at 10:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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