2012年06月15日

一歩踏み出す勇気、をもつことができる環境づくりを

御無沙汰しています。
寅嶋(桜井)静香です。

昨年はこのFifssで所属させてもらっている
早稲田大学研究機構のプロジェクト研究のみの業績しかなく
本当に皆さんと同じこの場で色々と述べるのは恐縮に値しています。

ただ・・・
今の生活状況で取り組めることはかなり限定されている、
という事実を自分で認識しながらの活動です。
皆さんには大変失礼きわまりないかもしれませんが・・・
今年もこちらに所属させてもらいながら
なんとか目の前のことを一生懸命取り組ませてもらう次第です。

どうぞ宜しくお願い致します。


さて。

以前スポーツ雑誌に
とある競技のトップレベルの選手のコメントが掲載されていたのですが・・・

その内容は
彼の行っているそのスポーツスキルは大変特異的な動きを伴うもの。
よって
ビデオに日々の練習を取り込み、改善すべきところは何度も繰り返し観察し、
それをもとに次へのステップメニューを企画したようでした。

勉強熱心でもあった彼は、
すぐにその競技レベルではトップに躍り出ていきました。

ところが・・・世界では結果が出せない。
でてこない。
むしろ下降していく・・・
なぜだ?
と。


・・・マイナスの状況にある動作をプラスにひきあげるために
マイナススキルを繰り返し観察していた・・・そうしたら
知らず知らずのうちに、このマイナスなスキルをイメージングして
実際の動作がその動作になってしまったという、できれば避けたい結果に
たどりついてしまった、

下降の原因を長い時間をかけてつかみとりました。


・・・「下手な・失敗の」多いパフォーマンスビデオを繰り返し見ていたら
改善されるどころかそちらの方が強烈に記憶にやきついて
実際の動作にて現れてしまった、というような結果。
彼は再び悩み始めましたが、ある時決断をします。


・・・この経験以来、一切合切ビデオをみるのをやめて、
自分の感覚だけにたより、動作遂行に集中力を以前の二倍以上注いだ、
という対策に入りました。

そこにプラスし、さらなるトレーニングの多様化をはかったそうです。
ひとつの動きにとらわれすぎてはいなかったものの、
これまでのトレーニングや動きの練習に、さらなる多様性をもたせる。
様々な角度から自分の求めているスキル動作にアプローチする。


・・・そこから大きくパフォーマンスは改善し、
飛躍をし、結果が予想以上のものになったというものでした。

ここで多様化の実験の御話を少しだけ・・・。

グッドマン&マグルの昔の実験から・・・ですが
彼らはバドミントンのサーブの練習とその成果・精度について調べました。

サーブの練習を一日30本、9日間、連続して行ったものですが、
サーブを3種類に分けました。
Aグループはどれか一種類のみのサーブを徹底して30本練習。
Bグループは一本ごとにサーブの種類を変えて一日30本練習する方法。

・・・結果は練習初日のテストではAグループの勝利でしたが、
残り8日間はBグループの方が成績がよかったのです。
また
最初のテストとは違う場所からサーブを打つ新テストを取り入れても
Bグループの方が優位に精度は高かった、というものでした。

・・・トレーニングに多様性をもたせること。
ここは同じことを反復し続けるよりも、
最終的には優れた動きをみにつける可能性が高いことを示しています。

これ、レミニッセンス効果・・・ともいわれていますが
様々な神経回路が合理的に結びつくための作業が行われ、
動きづくりと脳内の神経回路の整備が行われていったことが
彼の特徴的な飛躍につながったのかもしれません。


そして何より機械的ではない、
ある意味思考をフルに駆使した上での結果・・・だったと思います。


・・・これまで様々な勉強をし、運動科学のかなり詳細な分野までも
熟知していた彼は、
様々な情報や知識を駆使しながらトレーニングを実施し、
怪我ひとつなく進んできたそうです。

ところが
あるときのスランプから、この「情報・知識」を一度そぎおとす、
という決断に踏み込んだ・・・

そして
さらなる別の思考をフル活用し、
世界でも一流のレベルにまで到達した。

・・・意識をしすぎず、自己の磨かれた感覚に頼り、
かつ
情報や知識を、いったんすべてそぎ落とす・・・
そして
勇気もいる多様化に踏み込み、違う思考を取り入れる・・・

熟練の域に達したものにしかわからない領域なのかもしれません。

そして
周囲の教育や助言がどれだけ建設的ですばらしいものだったか・・・
と思うと
彼のバックグラウンドの快適な状況に改めて
拍手を送りたいとも感じました。


・・・トップに行くまでの道のりは決して平たんではありませんし、
何しろ苦労やけがもつきまといます。

トレーナー時代に様々な方々に出会うことができたのですが、
やはり
この一歩踏み出す勇気や
すべてそぎ落とすという、一瞬怖いかもしれないけれども
これまでのやり方とは全く違った方向からの自身に対する
アプローチができる方とできない方・・・
はそれまでの過ごし方や環境が非常に大きく影響していることも
よくみえてきました。


・・・現在非常勤講師にたずさわり、
様々な競技履歴をもった学生さんと向き合っています。
彼らは、競技履歴やバックグラウンドの違いが非常に大きく、
興味深いコメントや様々な苦労があぶりだされています。

幼少期からの取り組み・・・
コーチからの手厚い温かいアドバイスやアプローチ・・・
機械的な指導下OR考えさせる指導下・・・

様々な環境の中で
皆それぞれ懸命に頑張ってきたと思いますが
やはりバックグラウンドの違いはでかすぎるぞ、と。


・・・育った環境は競技結果やその後の人生に大きな大きな影響を
与えます。


親として、指導する立場として、正直なところ
若干複雑な気持ちでおります。

しかし
これからの未来を支える若者たちが
臆さずに、勇気をもってあらたな領域に一歩ふみだせるように
我々大人は手をさしのべてやらないといけないなあ・・・
と改めて実感させられている、今日この頃。


そこを少し書き記したく。
そして
未来のスポーツ科学、を担うという人々が集まる
このFifssの皆さんを通じて
お話させてもらいたかった、というものです。


・・・まあ・・・
親の業務を100%遂行しながら
次へのステップを企てなければいけない時期に入った
40間近のおばさんとなった私自身も
勇気をもって来年度からは大きな決断をしないといけないなあ、
という気持ちが芽生えている状況でもあったりします・・・苦笑


環境の違いや考えさせる指導についての御話は以前

http://fifss.seesaa.net/category/7275215-1.html

でもお話させてもらいましたが・・・

やはりこれからの世代を担う若い人々へ、
スポーツや運動の大切さを説いていかねばいけないのは
我々の使命であるとも感じています。

posted by fifss at 22:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月06日

本研究所の宮崎真研究員の論文が「Faculty of 1000 Neuroscience」で紹介されました。

本研究所の宮崎真研究員(山口大学時間学研究所)の論文が「Faculty of 1000 Neuroscience」で紹介されました。
http://f1000.com/715947812
ベイズモデルを新たに脳の時間情報処理に適用した革新性が高く評価されています。

Faculty of 1000は、日々出版される膨大な論文から特に注目すべきもの(約2%)を厳選して公表し、研究者が読むべき論文を選ぶ際の一つの指標となっています。選考員から重要論文としての推薦を受け、編集者が精査の上でその重要性を確認した場合に Faculty of 1000 に掲載されます。Faculty of 1000の選考員はノーベル賞受賞者,ラスカー賞受賞者,Royal Societyフェロー,NAS メンバーなどを含むトップ研究者から構成されています。

紹介された論文:
Makoto Miyazaki, Daichi Nozaki, Yasoichi Nakajima
Testing Bayesian Models of Human Coincidence Timing
J Neurophysiol 94: 395–399, 2005
http://jn.physiology.org/content/94/1/395.full.pdf
タグ:FIfSS
posted by fifss at 17:05| Comment(0) | 成果報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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