2012年07月11日

論文紹介:Bayesian Calibration of Simultaneity in Audiovisual Temporal Order Judgments

山口大時間学研究所の宮崎です.

本日は私も関わっている論文の紹介となりますが,下記の論文が刊行されました.
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0040379
Yamamoto S, Miyazaki M, Iwano T, Kitazawa S (2012)
Bayesian Calibration of Simultaneity in Audiovisual Temporal Order Judgments.
PLoS ONE 7(7): e40379. doi:10.1371/journal.pone.0040379

通常,視聴覚刺激の時間順序判断では Lag adaptation* というベイズ推定とは正反対の適応作用が観測されるのですが,産総研の山本慎也さんが,その Lag adaptation を無効化する巧妙な方法を考案し,視聴覚刺激の時間順序判断にも潜在的にベイズ推定が作用していることを示すことに成功しました.

山本慎也さんのHP:
http://staff.aist.go.jp/yamamoto-s/

この論文での実験結果は,6年前に刊行された以下の論文での理論的予見を支持するものとなっております.
http://www.nature.com/neuro/journal/v9/n7/abs/nn1712.html

ベイズ推定については,以下の紀要論文で日本語にて解説をご覧頂けます.
http://kutarr.lib.kochi-tech.ac.jp/dspace/bitstream/10173/682/1/rb8_009-015.pdf

ベイズ推定は,ヒット率をあげるために事前の知識や経験がどのように利用されているのか,また逆に,フェイントに引っかかるのはなぜかといったスポーツ科学の話題とも関連しております.ご興味を持って頂けたらご一読頂けましたら幸いです.

*Lag Adaptation:
この現象は NTT と CALTECH のグループによって2004年に Nature Neuroscience に発表されました.
http://www.nature.com/neuro/journal/v7/n7/abs/nn1268.html
音(聴覚)刺激と光(視覚)刺激は物理的伝達速度も生理学的伝達速度も異なります.にも関わらず脳は同一の事象/対象から発せられた音と光をうまく結びつけることができています.これはよくよく考えてみると不思議なことで,それを状況の変化に応じて安定して実現する仕組みが lag adaptation です.この lag adaptation は,多感覚統合および時間知覚に関する最重要知見の一つといえます.

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posted by fifss at 17:22| Comment(0) | 成果報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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