2010年06月18日

夢が夢


2周目の夢の話です。今回は、「なぜ私たちは夢を見るんだろう」という疑問に関する先行研究を紹介したいと思います。これまで多くの研究者が夢の役割に関する仮説を提唱してきました。でも未だ夢の役割は分かっていません。いろんな夢仮説があって、読んでみると結構面白いです。


@精神力動仮説(Fisher仮説,1966年)
 「夢は本能的衝動を発散させるために生起する」
夢の中で現在持っている問題や葛藤が発散的に処理される。そのため、ありありとした夢を見る時期のレム睡眠を選択的に遮断すると、感情のコントロールが悪くなったり、食欲・性欲が亢進する。

Aシュミレーション仮説(Jouvet仮説,1978年)
 「夢は行動プログラムの作成とシュミレーションの内容を反映している」
生きていく上で必要な行動プログラム(ネコなどは、捕食攻撃行動、威嚇といった防御的攻撃行動)が実行可能なものであるか夢の中でシュミレーションして確認する。

B夢−忘却説(Crick-Mitchison仮説,1983年)
 「忘れるために夢をみる」
日中蓄えた膨大な情報のうち、不要な情報を消去して情報の整理整頓を行う。

C夢−記憶固定説(Winson仮説,1985年)
 「夢は記憶の再生と再処理過程で生起する」
日中脳が処理した情報のうち重要なものがレム睡眠中に再生され、改めて編集処理されたものが記憶として固定される。

D夢の活性化−合成仮説(Hobson-McCarley仮説,1977年)
 夢は覚えるためでも忘れるためでもなく、レム睡眠の責任脳部位からのランダムに発信される神経信号により大脳皮質が活性化され、これによって発生した様々な感覚心像を合成したものが夢となる。

E夢の感覚映像−自由連想仮説(Okuma仮説,1992年)
 この仮説では、夢の活性化−合成仮説を基に、夢のストーリー性に着目している。レム睡眠中には脳内の神経信号により大脳皮質が活性化され感覚心像がポンポンと出現する。しかしポンポンと情報が出現しただけでは夢にストーリー性は生まれない。レム睡眠中には、ある情報がポンと生まれると次に情報が生まれる際には、日中の経験を基に最初の情報と連想関係にある情報がポンと出てくる。このように連想に連想が繋げられてストーリー性が形成される。日中の経験にはその人が日ごろ考えがちな思考経路が使われることもあるので、非常に現実的な夢を見たりする。


@〜Cは夢の役割に関する仮説ですが、DとEは役割というよりも夢の発生メカニズムに関する仮説になります。
夢の役割の直接検証は方法論的にも難しいです。なのでまずは、どうやって夢が成立するのか、夢が発生する仕組みをレム睡眠中の脳機能から検討することで、なぜ夢を見る必要があるのか、夢の意義や役割の解明にアプローチしたいと思っています。
レム睡眠中の生理現象や、日中の記憶体験が夢にも出てくるなど、日中と夢の繋がりをヒントに、実験計画ベースに持ち上げるイメージです。

目標到達まではまだまだ遠いですが、いつか第7のOgawa仮説を提唱することが私の夢です。日ごろのちょっとした疑問を研究へ繋げる。そんな気持ちを忘れずにいたいものだなと思います。(keicom, 小川)


posted by fifss at 08:12| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月24日

夢研究

みなさんの夢は何ですか?
私の夢は、大きなところでいくと世界平和とか、身近なところで行くと馬を飼いたいとか、きりがないですが、仕事の研究では夢の発生メカニズムを解明するのが夢です。未来の夢(dream)と寝ている間に見る夢(dream)どちらも同じ夢(dream)なのでなんだか魅力的です。

いつ、どこで、どうやって、なぜ夢を見るのか。「いつ」はレム睡眠中、「どこで」はだいたい布団の中で、「どうやって」は脳が活動して、「なぜ」何のためだかは分かりません。
私はこれまで、夢をどうやってみているのかについて、脳波を使って検討してきました。今のところ分かってきたことは、外界とのやり取りが制限され“睡眠”という閉ざされた環境に存在する脳が、自らを刺激し自己活性化した結果生じるもの、ということです。寝ている間には、脳も休息をとりますが、完全に止まってしまうわけにはいかないので、地味に活動し続けています。

活動するためには、活動するためのネタが必要になります。ここには、脳内に散らばっている日中の経験情報が使われます。これらの情報を適当に勝手に連想・組み合わせることで夢の内容が決定されていきます。
夢占いの本は読んだことはありませんが、夢の内容が日中の経験に基づいていることを考えると、夢の内容から何か分かることもあるかもしれません。たとえば、感情がたくさん込められている情報は、寝ている間にもピックアップされやすくなると考えられます。

夢とは何かと一言でいうと「レム睡眠中の脳の機能現象の産物」であり、これを研究する夢の研究は、「睡眠中の脳機能」研究といえます。
睡眠中の脳および生体機能を検討・解明することは、日中のパフォーマンスの最適化・効率化に繋がるのではないか。と、私はこのスポーツ科学未来研究所で、夢研究・睡眠中の脳機能研究の可能性を広げたいと夢見ています。

このブログでは、「夢の役割」、「スポーツ選手と夢」、「夢の中でトレーニングができないか」、「睡眠中の脳を含む生体機能の可塑性」、「睡眠と心身のコンディショニング」など、いろいろ妄想を膨らませたいと思います。
次回は、なぜ夢を見るのかについて、ご紹介したいと思います。
それからスポーツに関わる夢相談も随時受け付けています。(Keicom. 小川)
ラベル:keicom
posted by fifss at 12:45| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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